問題のある症状の熱性けいれんを起こした子供の経験談。アメリカと日本での熱性けいれんの予防方法の違いを解説

子供は10人に1人の割合で熱性けいれんを起こす可能性があると言われていますし、子供の病気のガイド本などにも熱性けいれん時の症状やその時の親の対処法など説明があります。が、実際に熱性けいれんの場面に初めて直面してしまうと、親としては呼吸もせずに体が硬直している子供を見て、パニックになってしまうことが多いと思います。私の息子も熱性けいれんをこれまでに3回起こしており、熱性けいれんだけは何度経験しても慣れませんし、もう二度とならないでほしい…と祈りたい気分になります。息子は1回目にアメリカで熱性けいれんを起こし、2回目、3回目は日本で起こしました。熱性けいれんを一度経験した場合、熱性けいれんが再発する確率は30%~50%だと言います。再発しないための予防法が日本とアメリカでは違いがありましたので、今日は我が子の熱性けいれんの経験談をもとに、アメリカと日本での熱性けいれんの予防方法の違いを説明します。お子様が熱性けいれんを発症しやすい方で、これから渡米を予定されている方、またアメリカでおこさんが発症されて、これから日本へ帰国する方などに参考にしていただけると嬉しいです。

熱性けいれんの症状は?

熱性けいれんの症状はその子により症状が違うこともあるかと思いますが、一般的な症状は以下の通りです。

①39℃前後の高熱時(通常は発熱後24時間以内と言われている)に、意識がなくなる、体が硬直する(つっぱった感じ)、白目をむく、全身の力が抜けたような状態になります。大抵、手足が左右対称にひきつけを起こします。

②無呼吸になることが多く、唇や顔にチアノーゼが出て、真っ青になります。

③嘔吐することがあります。

④多くの熱性けいれんは3分~5分で終わると言われています。終わると、呼吸できるようになるので、顔や唇の色が元に戻ります。けいれんの後は寝てしまうことが多いです。

熱性けいれん時の親の対処方法

①けいれん中にお子さんが嘔吐する可能性がありますので、体を全体的に横向けにしてあげます。決して、舌をかまないようにと口にハンカチなどを挟んだりしてはいけません(吐いたものが気管に詰まったりする危険があります)。また呼吸をしやすくしてあげるために、衣服を緩めてあげるといいそうです。名前を呼んで体を揺すったり、持ち上げたり、けいれんを止めさせようと押さえつけたりしてはいけません。

②基本は、その場で親がお子さんに対してできることは何もありません。つらいですが、まずは時計をチェックです!!何分間けいれんが続いているか時間を測ります。

③次に、手足のひきつけの仕方(左右対称にひきつけを起こしているか?)、目はどこを向いているか?体温は何度か?発熱し始めてから、けいれんを起こすまでの時間はどれくらいだったか?のチェックが必要です。が、親もパニックになっていることが多く、それどころではなくなってしまうこともあるかもしれません。そんな時は、スマホで録画!!!と覚えておきましょう(そんな私も、いざという時にスマホどころじゃなくなってしまい、録画すら忘れてしまうこともあります…)。

けいれん後の意識状態の確認をします。しばらく意識がぼーっとしたり、眠ってしまうこともありますが、30分以内に意識が元に戻れば大丈夫だそうです。(吐いてしまうこともありますので、意識が戻るまでは、誰かが側で見ている必要があります。)

⑤けいれんが3分~5分以内で終わり、意識もすぐに回復した場合は、その後、落ち着いてから(夜中の場合は、翌朝)病院へ行って、お医者さんに診てもらいます。

⑤高熱ではないのにけいれんしたり、手足のけいれんの仕方が左右非対称だったり、初めてけいれんを起こした場合は、できるだけ早急に(休日や夜間外来、救急外来なども利用)病院に行きましょう。

1日に2回以上続けてけいれんした場合や、またけいれん後に意識がしっかり戻らない場合、5分以上けいれんが続く場合は、他の病気が潜んでいる可能性もありますので、救急車を呼んでも良いと、私は主治医から言われました。

1回目の熱性けいれんの症状と、その後の予防方法(アメリカ)

私の息子はこれまでに3回、熱性けいれんを経験しております。

1回目の熱性けいれん(アメリカ)は、息子が1歳になってすぐ、39℃の高熱時に起こりました。私がパニックになったこともあり、手足の状況を確認していませんでした。でも時間はだいたい5分以内で終わったため、夜中にけいれんを起こしたのですが、翌朝、病院を受診しました。その際は高熱によるけいれんで、子供にはよくあることであり、問題ないと診断されました。

アメリカでの熱性けいれんの再発の予防方法

アメリカでは、けいれんの予防薬を使う指導はありません。副作用の心配もありますし、そもそも熱性けいれんは、子供の脳の伝導が未熟なために起こるものであって、脳に異常があり起きているものではないので、薬を使う必要はないと考えられています。再発を予防したい場合は、発熱時に解熱剤を一定の間隔(効果持続可能時間)を守りながら使い続けるように指導されます。「高熱にならなければ、熱性けいれんにもならない」というのが、私の息子の主治医の見解でした。

なので、私はアメリカでは、主流の解熱剤であるアセトアミノフェンをひたすら子供に服用させ、子供が高熱にならないようにしていました。ただこれの問題点は、用いた解熱剤が、その子にとっては効き目が悪かった時に、効果持続時間より短いタイミングで子供の熱が上がってしまうなどの際には、対応できないということです。私のアメリカ人の看護師の友人は、「アセトアミノフェンだけでは心配だった場合は、イブプロフェンと交互に使えばいいよ」というアドバイスもくれたのですが、どちらにせよ、その解熱効果が切れそうな際に、タイミング良く新たに解熱剤を使用しないといけないというプレッシャーもすごくあり、子供が発熱すると、私もいつも構えてしまい、とても疲れていました。

2回目の熱性けいれんの症状と、その後の予防方法(日本)

2回目の熱性けいれん(日本)も、39℃の高熱時に起こりました。アメリカの主治医の指導に従って、私は解熱剤の効果が切れないように子供に解熱剤を服用していたのですが…、あまりこの時は効果がなかったようで、気づいた時には高熱になっていました。そして、この時は、とても問題のある症状でした。

まず、けいれんが左右非対称でした。具体的には、左の手足はぎゅっと曲がっていて、右の手足はピンと伸びていました。また、けいれんの継続時間が、14分間でした!14分間も続くと、顔も唇も本当に驚くほど真っ青で、見ている私は、もう…ダメかも…と本気で思いました。(この時もパニックになっており、目の位置は確認できませんでした)。左右非対称ですし、けいれんが5分を超えたので、5分を超えた時点で救急車を呼んで、近所の総合病院に救急搬送されました。

病院到着後に息子は目を覚まし、意識もしっかりあったため、とりあえず色々と診ていただき、その日は帰宅して良いと判断され、ぐったりした息子を連れて3時間後くらいに我が家に到着しました。ただ、問題のある症状でしたので、翌日に再度主治医に診察してもらい、脳波を測定する必要があるということで、脳波測定も後日行いました。脳波の結果は、先生がおっしゃるには「今回の結果は問題なかったけれど、この結果が全てではなく、また異常な熱性けいれんを繰り返すようなら、再度脳波を測定して検査をした方が良い」と言われました。

日本での熱性けいれんの再発の予防方法(病院により予防法には若干違いがありますので、参考として、私の主治医の予防法を挙げておきます)

日本では熱性けいれんの予防薬として、ダイアップ坐剤を使用します。熱性けいれんは、急激に体温が上昇したり低下する時に起こりやすいので、発熱に気づいたら、すみやかに熱性けいれんの予防薬を使用します。

37.8℃以上発熱した際に、1回目を使用します。1回目の使用から8時間後に、発熱の有無に関わらず、2回目の座薬を使用します。これで、1回目使用後より36時間程度は有効です。その間に、熱が高くなったとしても、薬の効果は持続しておりますので心配はいりません。

病院によって違いはあるそうですが、熱性けいれんがある場合は、解熱剤は使用しません。特に体重が6㎏以下の場合は、解熱剤を使用しないということが一般的だそうです。解熱剤をどうしても使用する場合は、ダイアップ坐剤使用後から、必ず30分以上あけて使用する必要があります。

私の息子は、特に問題のある熱性けいれんを起こしましたので、ダイアップの使用を強く勧められました。上記の方法で、発熱時にダイアップを使用し、解熱剤を使わないという方法は、親としては、2回ダイアップを使用することで36時間は安心していられるので、精神的にはとても心強いです。(もちろん、ダイアップには、眠気やふらつき、興奮などの副作用がありますので、心配な点があった際には、病院で診てもらう必要があります。)ただ、いつどこで発熱するか分からない恐怖が常にあるため、幼稚園にも常時ダイアップを冷蔵保管してもらったり、遠出(旅行)する際にも体温計とダイアップを持ち歩くなどの必要はあります。でも、個人的な意見ですが、アメリカの解熱剤を使い続けるというのよりは、解熱剤も副作用がありますし、私は日本のダイアップ使用の方が良かったです。

3回目の熱性けいれんの症状と、その後の予防方法

息子はダイアップを小学校に上がる時まで使用しておりましたが、小学生になり、「小学生なので、そろそろダイアップを使用しなくても、熱性けいれんは起きなくなりますよ」という主治医のアドバイスもあって、めでたくダイアップ使用を止めることにしました。

が、小学1年生の冬にインフルエンザにかかった際に39℃の高熱を出し、なんと3回目の熱性けいれんを発症してしまいました。この時の症状は、嘔吐し、さらに左右の手足が非対称(左の手足がぎゅっと曲がり、右の手足がピンと伸びる)、そしてけいれん持続時間は7分間でした。この時もパニックになり、目の動きはチェックしておりません。5分を超えたところで救急車を呼びました。病院に到着後しばらくして意識は戻り、また色々診てもらった後に、自宅に帰りました。

ダイアップ再開

今回も問題のあるけいれんでしたので、結局ダイアップの使用を再開しました。主治医がおっしゃるには「インフルエンザは熱性けいれんを起こしやすい」だそうです。このダイアップの使用をいつまで続けたら良いのか、まだ分かりませんが、先生からは、「再度、脳波を測定して、ここでも問題がなければ、もうダイアップは使用しなくて良いと思います」と言われました。

熱性けいれんって、小学生になっても起こすのですね~。そりゃ、そうなんでしょうけれど、問題のある熱性けいれんだけに、ダイアップの止め時を非常に悩む私です。

熱性けいれんを起こしている時、子供は苦しいの?

実際に、熱性けいれんを起こした後に、落ち着いてから、小学生の息子に聞いてみました。呼吸もできないわけですし、体が硬直して、すごく負担がかかっているので、これはもうすごく苦しいに違いない!と思い、確認のために聞いてみました。

私「熱性けいれんが起きた時、苦しかったの?」

そうしたら、

息子「いや、全然、苦しいとかはなかったよ。ただ、ものすごく眠かったんだ。眠いな~寝ようかな~って思って、寝ちゃって。で、起きて気づいたら病院のベッドにいたから、すごくびっくりした!」とのことでした。

もちろん、お子さんによるとは思うのですが、そんなに私の息子は熱性けいれんの時に苦しい思いをしていなかったようです。だから良いわけではないのですが、子供が苦しいと親はそれ以上に苦しくなることもあるわけで…、本人がそこまで苦しがっていなかったのだと思うと、少しだけ救われたような気持ちにもなりましたし、今後、熱性けいれんを起こした時に、子供はそこまで苦しくないんだ!と思いながら、もう少し冷静でいられるといいな…と自分に言い聞かせました。

まとめ

アメリカと日本では熱性けいれんの予防方法が異なります。日本の予防方法の方が好きな方は、日本でダイアップを処方してもらい、それを渡米時に少し持参すると気持ちがラクかもしれませんね。



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