アメリカ赴任準備!まずは予防接種を受けましょう

海外赴任が決まり、やることが多すぎてどうしよう!何から準備しよう?と、途方に暮れると思います。まずは、とにかく早めに予防接種を受ける必要があります。なぜなら予防接種のワクチンは複数回接種することで効果が出るので時間がかかるから。ここではアメリカ赴任時に必要な予防接種のワクチンの説明をします。

目次

海外赴任時に予防接種は必要?

海外赴任は準備がただでさえ大変なのに、子供の時にきちんと予防接種を受けてきたのなら、もう新たに予防接種しなくてもいいんじゃない?なんて思いたくなるかもしれません。

でも、海外赴任時に予防接種は必要です。なぜなら、日本では感染しないような感染症に渡航先でかかり、最悪の場合では命を落としてしまう場合もあるからです。例えばアメリカでは狂犬病の発症率が日本より高く、実際に私が住んでいたミシガン州で、私の家の庭に狂犬病に感染したウッドチャックが来たこともあります。また、アメリカでは幼稚園や小学校に入学する際の条件として予防接種の接種済み証明書(英文)の提出が必要な場合が多いです。なので、海外赴任が決まったら、家族で予防接種を受けましょう。

赴任前の予防接種はどこで接種?いつから接種し始めたらいいの?

海外赴任前の予防接種は、海外渡航科がある病院や、ご自身の会社が紹介してくれる病院などで接種してもらえます。こういった病院では、滞在国や滞在期間に応じた予防接種のことを熟知していますし、渡航日から遡った期間内に、できるだけ要領よく沢山のワクチンを接種できるようにスケジュールも組んでくれます。

また、ほとんどの予防接種のワクチンは、複数回接種することで効果が現れるので、接種が終わるまでに長期間かかります。なので、海外赴任が決まったら、できるだけ早めに病院に行き、予防接種のスケジュールを立てていくことが大事です。

アメリカ赴任時に必要な予防接種は?

赴任時に必要な予防接種(大人の場合)

アメリカ赴任時に必要な予防接種は、ご自身の過去の予防接種履歴や、病気の罹患歴などをみながら接種するワクチンを決定する必要があります。なので、まずは大人の方も母子手帳をチェックしましょう。

過去に定期予防接種を漏れなく接種されている大人の場合、アメリカ赴任時に大抵、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病の接種は確実に勧められると思います。私が渡米する際も、勧められました。また、ポリオの予防接種は、日本では2012年9月より子供の定期接種として不活化ワクチンを計4回接種することになりましたが、それ以前の予防接種対象者は生ワクチンを2回だけ接種して完了しております。しかし、海外では3回以上接種が普通であるのと、さらに1975年~1977年生まれの人はポリオに対する免疫が低いことが分かっているそうなので(※1)、過去2回のみ接種の方や1975年~1976年生まれの方は、ポリオの追加接種が勧められると思います(※1:厚生労働省検疫所:海外渡航者のための感染症情報FORTHを参照)

さらに、風疹抗体価が低い方や、子供の時の定期接種に不足がある方、おたふく風邪などに子供の時に罹患しておらず、予防接種もしていない方などは、それらのワクチンが追加される可能性大です。が、やはり各個人の過去の予防接種データに基づいて、また渡米までの日程の余裕具合や色々なことを考慮して、お医者さんと相談して決めていくことが大事です。

以下に、渡米時に接種する代表的なワクチンの種類、接種回数、接種効果がいつから現れるかを表にしました。渡航までの時間が少ない時などは、ワクチンの必要接種回数を打てないまま海外に出発する方も多いと思います。そういう時は、忘れずに、日本への一時帰国の際に追加接種を受けたり、渡航先で追加接種を打つのも良いと思います。

ワクチンの種類

接種回数

接種効果
破傷風 ・2回目接種後、1年間効果あり
・6か月~2年後に3回目接種で5,6年間効果あり
・その後は10年に1回接種。受傷時1回追加接種
・2回目接種後7日より
・3回目接種当日より
A型肝炎 ・2回目接種後、1~2年間効果あり
・6か月~1年後に3回目接種で5~10年間効果あり
・2回目以降の接種当日より
B型肝炎 ・3回目接種後、3~5年間効果あり
・後に抗体価低下時に追加接種が必要
・3回目接種後1か月より
・追加接種当日より
狂犬病

・2回目接種後、1年間効果あり
6か月後に3回目接種で1~2年効果あり。その後は1~2年ごとに追加接種が必要
・動物による受傷時当日と3日後に接種が必要

・2回目以降の接種当日より

 

赴任時に必要な予防接種(子供の場合)

アメリカでは幼稚園や小学校などに就学する際、ほとんどの場合、予防接種の接種済み証明書(英文)が必要になりますので、アメリカの予防接種スケジュールと日本の予防接種を比較し、不足分のワクチンを接種する必要があります。実際に予防接種をお願いする海外渡航科や会社が紹介してくれる病院が詳しく教えてくれるとは思いますが、ご自身でも確認されたい場合は、アメリカの予防接種のスケジュールが記載されているCDC(アメリカ疾病予防管理センター)のサイトをご覧になったり、私が書いた記事アメリカの子供の予防接種スケジュールと日本の比較(2019年度版)も参考にしていただくと良いと思います。

渡米されるお子様の年齢にもよりますが、参考までに、2019年4月現在のアメリカの子供の定期予防接種と日本の予防接種(沢山ワクチンを接種する4歳まで)を比較して、両者に差があるものをチェックできるように下記に表を作成しましたので参考にしてください。

予防接種

アメリカでの

定期接種の有無

日本での定期接種の有無

B型肝炎

〇(2016年10月より定期接種となった)

注意)2016年10月以前に生まれた子供は赴任前に接種が必要

3種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)

4歳までに5回接種

注意)4歳までに4回接種。アメリカより1回少ない。

不活化ポリオ

4回接種

〇(2012年9月より不活化ポリオ4回接種が定期接種となった。以前は生ワクチンを2回接種)

注意)2012年9月以前に生まれた子供は赴任前に追加接種が必要

ロタウイルス

× 日本では任意接種

注意)赴任前に予防接種が必要

ヒブワクチン

〇(2013年より定期接種となった)

注意)2013年以前に生まれた子供は赴任前に接種が必要

小児用肺炎球菌

〇(2013年11月より定期接種となった)

注意)2013年11月以前に生まれた子供は赴任前に接種が必要

麻疹・風疹

おたふく風邪

× 日本では任意接種

注意)赴任前に予防接種が必要

水ぼうそう

〇(2014年10月より定期接種となった)

注意)2014年10月以前に生まれた子供は赴任前に接種が必要

A型肝炎

× 日本では任意接種

注意)赴任前に予防接種が必要

日本脳炎 ×アメリカでは接種しない

〇日本では定期接種

BCG ×アメリカでは接種しない

〇日本では定期接種

渡米時に診断書が必要!!!

狂犬病 ×アメリカでは定期接種ではない

×日本でも定期接種ではない

注意)渡米時に予防接種を受けましょう

 

BCG予防接種の診断書について

アメリカではBCGの予防接種をしませんが、その代わり、入園・入学時にツベルクリン検査(Tuberculosis Screening)で結核に感染しているかどうかを確認します。アメリカではBCGの予防接種がないので、結核に対して免疫を獲得している人は通常はおらず、ツベルクリン反応の検査で、“陽性=結核感染者“と判断されます。

一方、日本では、結核に対する免疫を獲得するために1歳までに1回予防接種をします。そのため、日本ではツベルクリン反応検査で、陽性=結核に対する免疫がある(結核に感染していない)と判断します。

アメリカと日本では、上記のようにツベルクリン反応の結果の捉え方が異なります。日本でBCGの予防接種をした人は、アメリカでの入園・入学時の検査などでツベルクリン反応陽性(結核感染者)とみなされる可能性が高く、不必要な治療を要求される場合もあります。そのため、アメリカへ長期間渡航予定の方は、結核症ではないという英文による診断書を担当医師に書いてもらう必要があります。その場合は以下の3点の項目、

①ツベルクリン反応が陽性であること。

②BCG予防接種をしたこと。

③胸部のレントゲン検査などで結核でないことを確認したこと(この③の部分がないと、アメリカで検査が必要になることがあります)。

という内容を記載してもらう必要があります。

渡米時に狂犬病の予防接種を受けましょう!

狂犬病は発症するとほぼ100%死亡するこわい病気だと言われています。よくアメリカ渡航サイトなどをみると、北米に行く人は狂犬病の予防接種が必須になっておらず、できれば接種したいと記載してあるものを目にします。

でも、絶対に狂犬病の予防接種はした方がいいです!なぜ、私がこんなに強く狂犬病の予防接種をお勧めするかと言いますと、私がアメリカ・ミシガン州で生活している時に、我が家の庭に狂犬病にかかったウッドチャックが来たから(アメリカ・ミシガン州の野生動物を楽しむ①ウッドチャックにも書いてありますので参考にしてください)です。

なぜ、そのウッドチャックが狂犬病だと分かったかというと、明らかに普段うちの庭にやって来るウッドチャックとは様子が違ったからです。よだれをあり得ないくらい垂らして、しかも窓越しに私を見つけたら、激しく窓に体当たりして私を攻撃しようとしたり(ガラス窓が割れなくて良かったです…)、近くの岩を激しく噛んだり、とにかくものすごく怖かったです。

あんな状態の動物が、仮にアメリカの自然が沢山の公園などを歩いていた時に突然攻撃してきて噛みついてきたら…、たぶん、逃げられないと思いました。それくらい、すごい勢いで突進してきました。

なので、予防接種で命が助かるのであれば、絶対に予防接種を強くお勧めします!

ウッドチャック

まとめ

アメリカ赴任前は引っ越し準備などとても忙しいと思います。でも、それと同じく海外で自分の身を守る手段として、予防接種もとても大事ですので、赴任が決まりましたら、できるだけ早く病院の先生に相談して、予防接種をスタートさせましょう!

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